チッチッチッ

原付バイクで公道を走っていると、

時々、僕の前を走っている車の運転手に幅寄せされることがある。

おそらくだが性格の悪い運転手だ。

例えば片側一車線の国道を何台かの車の後ろについて、

原付バイクで走っていたとして、

200m先の信号が赤になったら……

その(おそらく性格が悪く、足も臭い)運転手はミラーで、

後ろから近づいてくる原付バイクを

チラッと確認するや否や、

車をジワジワと左へ寄せてから停車するのだ。

その(おそらく性格が悪くて足も臭くてチビの)運転手は、

信号待ちの合間に原付バイクに横をすり抜けられ

自分より前に出られるのが嫌でしょうがないのだ。

それだけは悔しいのだ。どうしても避けたい場面なのだ。

そうに違いない。

よーし、それじゃあ。

ということで、僕はその車のガラ空きになった右側を

できるだけスマートに追い抜いてやるのです。

そしてニヤリとしながら(おそらく性格が悪くて足も臭くてチビでデブでのろまな)運転手の

悔しそうな顔をミラーで確認するのです。




今、

「あなたの方がよっぽど性格悪いのでは?」

と、思いましたね?

チッチッチッ

これはですね、「そんなにギスギスして運転してちゃダメよ。」

というやさしさメッセージであり、

いわば愛の鞭でもあるのです。

僕の人類への愛が溢れて吹きこぼれてしまっているのですね。

もはや誰も止めることはできません。

マザーテレサの再臨とも言われています。

これからはノーベル平和賞も視野にいれて活動していきたいと思っています。



……そして僕は、信号が青になったと思いきや、

ダッシュかましてスタコラサッサと逃げるのです。

なぜなら、そんな僕のやさしさが微塵も伝わるはずもなく、

イライラがMAXに達したその運転手は、

再び原付バイクを追い抜かそうと必死こくからです。



たしかに車側から見て、

自分の前をチンタラ走る原付バイクほど邪魔な乗り物はありませんしね(笑)