おしお

今年は忙しくて行けなかったが、毎年川遊びキャンプに行くお気に入りの場所がある。

そこは浅いわりにけっこうな流れがあり、ウォータースライダーさながら泳いだり、滝滑りや滝壺ダイブなどもできる。

土日には人が溢れるが、平日に休みをとって行くぶんには最高の遊び場だ。


しかし良いところばかりではない。

ヤマビルがいるのだ。

みなさん知ってますか?

ヤマビル。

そう陸に住むヒルのことです。

では血吸われたことありますか?



あぁ思い出すだけでもおぞましい……。

奴らいつのまにか足元をシャクトリムシのように登ってきて、知らないうちによろしく吸血されるのだ。

そしてヤマビルに血を吸われると、血が止まらないし、痒くて痒くてたまらない。


「人間であれば、その衣服の中に入り込んで吸血することもある。靴下など、目が粗ければ頭をその隙間から突っ込んで吸血する例もある。キャラバンシューズにとりついたものが靴下に潜り込むまで30秒という測定もある。雨の時には活動はさらに活発になり、樹上に登って枝葉の先からぶら下がり、動物のより高いところにもくっついてくる。ビニールのカッパは張り付きやすいため、足下から首まではい上がるのに1分程度とのこと。」(Wikipediaより抜粋)



う


一度、その被害にあうとキャンプの間中、足首をササッと草が撫でるだけで、ビクッとしなければならない。しかし実際には、音もしなければ気配もないので、不運にも取り付かれたら、可哀想に…………やがて血が流れることになるのだ。

まぁ五人でキャンプ行ったら二人が被害にあう程度なんですが、その血をたっぷり吸ってブクブクに太ったヤマビルのあまりのグロテスクさと忌々しさダメージも大きいです。

そこで去年の夏は、ヤマビル対策をばっちり調べてからキャンプに行った。

そのナメクジのような見た目の通り、ヤマビルはに弱いという。

おおっ!

はたして奴らがナメクジのように塩に溶けるのかどうかにも興味が沸くではないか。

さっそく妻に「おーい。ヤマビルにはやってさ。買って持って行こっ!!」と準備万端で出かけて行った……。

(このときはまさかあのようなことになるとは夢にも思わず、ただただ勝ち誇った気分でほくそえむタカシであった。)




いつもの川原でテントやタープを張り、テーブルとイスを置く。

川のせせらぎが心地よい。そよぐ風と泣き喚く蝉。

ふぅ〜〜〜っ。

とりあえずビールでも………い、いや……まだ落ち着くのは時期尚早や。ここで例のあれや、あれをやるんや。



























ブワサササッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッ
あ


そう相撲取りのように、塩を鷲掴みにし、あたり一帯に撒き散らすのだ。たちまちそこいらの草の陰や落ち葉の裏に隠れているヤマビルの奴らが塩で溶け出し、ようやくここにも安息の日々が訪れるというものだ。


僕には一家の大黒柱として、家族を守る責任があるのだ。

背筋を伸ばした僕は、父親としての役割を意識しながら、子供らに水着を着せようとしている妻に声をかける。




僕「今からヤマビル対策するから!塩出してくれるか?」








妻「ハイハイちゃんと買ってきたわよ。」







(ゴソゴソ・・・)







僕は少し神妙な顔を作りながら、妻に右手を差し出した。











妻「はいどうぞ。」



















お



















足りるかっ!!!
き


その年もご多分に漏れず、家族五人のうち二人がヤマビルの被害にあったことは言うまでもない。



おしまい

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