KRC

僕の住む町に流れる“加古川”の河川敷には普段、犬の散歩をしている人やジョギングをしている人がたくさんいます。通学路にもなっているようで、高校生が自転車で爽やかに駆け抜けていったりもする。

僕が属する“LJ加古川オフロードバイク部”は、そんな市井の人々を驚かさないように、河川敷のほとんどひと気のないところで活動しています。バイクに対する嫌悪感を持つ人も多いと思いますしね。

実際、二年前の正月には、白いカブに乗ったおまわりさんが飛んできた。どうやら散歩中のおっさんが通報したらしい。

「通報があったら、来ないわけにいかないからねぇ。」

帰り際におまわりさんは面倒臭そうに言った。




さて先日、いつものようにバイクで河川敷のガレ場を走っていると、上空をキラキラ光る物体が駆け抜けていった……。














ラジコン飛行機だ。





僕らは休憩を兼ねて、飛行機が着陸してったほうへ近づいて行った。







複数名のおじさんたちの側に、大小様々な飛行機が並んでいる。プロペラがひとつのやつやふたつのやつ。羽が上下に二枚ついた複葉機からドイツの戦闘機っぽいのまである。そこにいるおじさんたちの何人かはお揃いのキャップを被っていて、そこには「KRC」というロゴが付いていた。






KRC = 加古川ラジコンクラブ






だそうだ。

60歳前後の方が中心で、なんと加古川の河川敷で30年以上活動しておられるそうです。滑走路であるその約200m×10mの範囲をキチンと草刈りし、平らに整備している。石ころひとつ落ちていない。




そんな“加古川ラジコンクラブ”のみなさんの存在に、僕らはなんだか心強い味方を得たような気がした。

きっとここにいたるまでには、散歩中のおっさんやおまわりさんと、紆余曲折あったんだろうなと、想像します。











「あんたらバイクもええけど、ラジコンやらへんか?」






加古川ラジコンクラブの会員のおひとりが突然そう言って笑いかけてきた。









面白そうだけど、入ったら多分、滑走路の草刈りとか機材搬入とか全部やらされるんやろうなぁ。







頑張れ!“加古川ラジコンクラブ”




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