選挙
選挙のシーズンが来るたびに、僕には思い出す人がいる。あの人は今、いったいどこで何をしているのだろうか?
その人の名は“馬場一郎”
そうあれは確か、僕らが小学1年生のころ……双子の兄や近所の友達たちと自治会館の前の公園で遊んでいた。すると、突然あの車が現れたのだ。
「馬場一郎!馬場一郎をどうかよろしくお願いします!」
大きな音を出しながら、公園の横の狭い路地をゆっくり通り抜けていく1台の車。当時はもちろん選挙だなんて知らないもんだから、“ばば”(うんこ)という(小1にとっては)超一級の下ネタをスピーカーで叫びながら走ってくることに、僕らは相当なインパクトを受けた。
「ばばいちろー!ばばいちろー!ばばいちろーをどーかよろしくお願いしまーす!ばばいちろー!ばばいちろー!!」
時には……
「ばばいじろー!(うんこ触ろう!)ばばいじろー!!(うんこ触ろう!)」
とか、アレンジを加えたりもして盛り上がった。
僕らはそれからほぼ毎日、公園の横をその車がやってくる度に、そのフレーズを繰り返し叫んだ。時には、その車を追いかけたりもした。なんと綺麗なお姉さんが、僕らに向かって手まで振ってくれるのだ。テンションが上がらないはずがないではないか。
ある夜僕は、家に帰ってから台所にいるお母さんに報告した。
「あのなぁ。チリ紙交換の時代はもう終わってんでー。今はなぁ。“ばばいちろー”の時代やねんでー。」
口に出してから、僕は急に、最近この町では見かけなくなったチリ紙交換のおじさんのことが心配になってきた。
仕事なくなったんかなぁ……。
子供ながらに僕の気持ちは複雑だった。
さてこの日曜日は12年ぶりに行われる加古川市長選挙です。5人の候補者が立ち、かつてないほどの盛り上がりをみせています。(一部地域をのぞく)
2014年加古川市長選挙候補者を紹介する(岡本 篤の加古川Watcher)
みなさんの清き一票をよろしくお願いします。
そうそう……
市長選挙と同時に、加古川市では市議会議員選挙も行われるんですね。今日、僕の住む町から立候補した人の選挙カーがやってきたんです。
「○△◻︎×!○△◻︎×!!どうぞよろしくお願いします!!○△◻︎×!!こうやってがんばっています!!ど・う・か・よろしくお願いします!!」
だってさ……。
いや、頑張ってるアピールされてもさぁ?
ま、まぁ頑張ってるよ?確かに君は頑張ってるよ?でもそれって好きでやってるんでしょ?
まっっっっったく響かないからね?
あーぁ。いつまでたってもただただ名前を連呼するだけの選挙活動……そこだけ切り取るとまったく興味わかへんわぁ。
あとさっ!あとさっ!最近のウグイス嬢ってさ!!
おばさん率高くね?
ほじほじ………。
い、いや、行くけどね投票!!