迷ったら……

「おおきくなったねぇ……男の子でしたっけ?」

違っていた……その女性が連れている赤ちゃんは、女の子だった。どうせ間違えるのなら「女の子?」と言うほうが、無難だということに、その女性の寂しそうな横顔を見てから思い至った。だって、女の子に「男の子?」と言うと気にするだろうけど、もしも男の子に「女の子?」と言ってもそんなに悪い気はしないだろう。そもそも8ヶ月の赤ちゃんなんて、見分けがつきにくいもんだ。これからは「迷ったら女」だ。

その女性との別れ際、僕は聞いた。

「そう言えば、おじいちゃん大変でしたね?入院してるのは近くの病院ですか?」

またやってしまった……入院していたのは、おばあちゃんだった。その女性は、またかよと言わんばかりの顔をしながらも優しく訂正してくれた。そうなんだ。おばあちゃんに「おじいちゃん?」と言うと気にするだろうけど、おじいちゃんに「おばあちゃん?」と言ってもそんなに悪い気はしないだろう。これからは「迷ったらおばあちゃん」……….な、わけあるかーーいっ!!これなんの話しやねんっ!!