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クリスマスの思い出

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毎年、クリスマスが近づくと思い出すことがある。

それは、まだ僕がサンタクロースの存在を信じて疑いもしなかったころのこと。ふと僕は不思議に思ったことがあった。うちには煙突がないのに、毎年どうやってサンタさんはプレゼントを届けてくれているのだろうか?サンタさんは、皆が寝静まったころ、煙突からそっと入ってくるはずだ・・・。

この謎に答えてくれたのは母だ。「え?あるで?」僕はますます不思議に思った。うちに煙突なんてあっただろうか?「あるやん。勝手口出て倉庫の裏に回って、見てきてみ?」僕はすぐさま倉庫の裏へ走った。うちと隣りの家を仕切るブロック塀の間に積み上げてある材木や瓦などを避けながら、奥へ進むと、なんとそこには煙突があった。そんなこと今まで全然知らなかった。その煙突は僕が思った煙突とはイメージがずいぶん違っていたが、とにかく煙突には間違いない。しかし、いったいこの煙突は、どの部屋から伸びているのだろうと考え、すぐそれに思い当った僕は愕然とした。

こんなとこから入ったらサンタさんウンコまみれやん・・・。

まだ汲み取り式のぼっとん便所が主流だったころの思い出だが、今となって考えてみると、いったい母が子供の夢を守りたかったのか、それとも壊したかったのか、いまいちよくわからないのである。いや、きっと母に悪気はなかっただろう。煙突がないのに、毎年サンタがやってくることを子供に突っ込まれ、とっさにそう答えてしまったのだろうと思う。でも、そのときの僕は想像してしまったんだ。ぼっとん便所の便器の中から、白ひげのサンタさんがニョッと首を出す姿を・・・。

倉庫の裏の湿り気の多い空間に、しばらく僕は立ち尽くしていた。小さな空に向けて地面から生えている煙突のてっぺんで、換気用のファンが回っている。カラカラカラカラ・・・。その音が、とにかく切なかったのを思い出す。

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