立ち漕ぎ

今年に入ってから、風邪をこじらせてしまったり、寒風吹きすさびすぎたりで、ついついサボってしまっていた自転車通勤……今日は久しぶりに乗りましたよ。トレーニングのためもあり、片道約10kmの道のりをすべて立ち漕ぎで行くのです。

やり始めたころよりも明らかに力強くなっている自分のペダリングによしよしと満足しながらも、やってるとどうしても納得いかないことがあるのです。

「立ち漕ぎ」というすざましいほどのダッシュ感が漂っているその見た目のわりには、マウンテンバイクのため、スピードがそれほど出ないのです。特に、家を出てから20分ほど漕いで、少しへばってきたあたりで、スーツを着たサラリーマンに軽々と抜かれてしまうことがよくあります。座り漕ぎのおっさんにだ。しかもママチャリだ。これはなんだか鼻で笑われながら抜かれたような気になってくる。 

「いやーぼくねー。隣町からずっーと立ち漕ぎで来てるんですよねー。」

続いて中学生女子にも簡単に抜かれる。

「いやいや。これはね。トレーニングのためにやっているのであってね。一番重たいギアでわざわざ負荷をかけてだね。」

またロードバイクに乗った若い衆には、呆気なくスイーーッと抜かれる。

「べ、別に?速く走るために乗ってないもんね?ていうか?そもそもが?タイヤが違うやん?こっちはゴリゴリのブロックタイヤやで?勝った気になるなら同じ条件で走ってくれるかな?」

このように、僕を抜かしていく全員を捕まえていちいち説明して回りたくなるのだ。面倒くさいので、いっそのことサドルを外してしまったほうがいいのではないかと思ってる。

でもきっと……

「あぁ、気の毒に……この人ったらサドル盗られたんだろうなぁ。」

と、抜かされる度に同情されるんだろうね。