2013-01-01から1年間の記事一覧

理容室マミ

その日僕は、ある理容室の扉を開いていた。頭を丸坊主にしている僕は、たいてい自宅でバリカンを使って簡単に散髪を済ましてしまうことが多い。前の方を自分で行い、後ろの方を妻にやってもらうのだ。しかしその日に限って理容室へ行ったのは、車に乗ってか…

㊙︎情報

職場になんでもすぐに「知っとる知っとるで。」と言う係長がいる。まだ僕しか知らないはずの㊙︎情報もこの人にかかれば、「知っとる知っとる。」ということになってしまう。 またこの人に、ちょっとした相談をしたら「わしが言うとくわ。」と言うのだ。 まぁ…

サンタクロースへの質問

それは去年のクリスマスイブの前日の話……事件は突然起こった。長男アラタくん(小5)が、物置になっている部屋で、騒いでいる。どうやら嫁が隠していたプレゼントを見つけて大騒ぎしているようだ。嫁は焦ったが、いやいやまだ誤魔化せるはずだと踏み、「こ、こ…

坂道 episode final

どこまでも続く坂道をトラクターで登りながら僕は呟いた。「あぁまたやっちまった。」昔から勢いだけで行動してしまうのが僕の悪い癖だ。大学4回生のとき、僕には好きな子がいた。Z子はよく通る大きな声で笑い、まるでゆで卵のようにほがらかだった。そんな…

悪質なイタズラ

嫁の自転車が2ヶ月の間に3回もパンクした!!イタズラか?はたまた恨みのセンなのか?それとも妬みか?ただの妬みなのか?いずれにしても腹立たしいことこのうえない。それに今後イタズラがどんどんエスカレートして、バイクや車もパンクさせられた日にゃ…

坂道 episode4

病院まで続く坂道をうつむきながら歩く僕の足取りは重かった。季節外れの風邪をこじらせた母が、入院してから早くも一週間が経つ。それにしても憂鬱だ。僕には好きな女の子がいた。同じ塾に通う和美だ。和美は猫っ毛で、笑うと八重歯がニョキっと出て可愛い…

坂道 episode3

まるでコンパスを使って引いたかのような、その屋根の勾配。その美しいフォルムは、これまで不可能と言われてきた、木材のみを使った構造で、ロングスパンの大空間を実現した。 しかも地元の間伐材を使用することで、荒れた山を再生し、地域経済の活性化に一…

坂道 episode2

境内まで続く長い坂道を自転車降りずにどこまで登っていけるか?いつも結果が決まっているので、すぐに諦めてしまう僕は、友達のBの背中を追いかけていることが多い。去年も一昨年もマラソン大会をぶっちぎりで優勝しているBには、まったく追いつけそうも…

坂道 episode1

学校までの長くて急な坂道を自転車降りずにどこまで登っていけるか?いつも結果が決まっているので、こういった勝負事はすぐに諦めてしまうはずの友達のAが、今日は珍しく先導して坂道を登って行く。その背中には何やら気迫が満ちていて、いつものように負…

百足

ムカデは人を噛む。例えそれが寝ている人間であっても噛みにくる……こちらが攻撃も何もしていないというのに!!てことはですよ?奴らはわれわれ人間を完全に舐めてるんじゃないでしょうか!?……い、いや、ひょっとしてがっつりした食糧だと思ってるんではな…

ケツ

教師からの体罰が横行していた中学時代。http://hagurerere.blog.fc2.com/?no=5 横行していたのは、教師からの体罰だけではなく、先輩からの理不尽な体罰も横行していた。僕らが所属していた軟式テニス部には、代々受け継がれてきた技(?)があり、それは、「…

あるある?

工場近郊に住む僕の鼻毛はよく伸びます。もちろんハナクソも、とてもよく溜まります。みなさんハナクソって、いいのがとれたら指先で丸めてしばらく転がしてることってありませんか? あれってなんともいえない気持ちよさがありますよね?(え?知らんて?で…

おしお

今年は忙しくて行けなかったが、毎年川遊びキャンプに行くお気に入りの場所がある。そこは浅いわりにけっこうな流れがあり、ウォータースライダーさながら泳いだり、滝滑りや滝壺ダイブなどもできる。土日には人が溢れるが、平日に休みをとって行くぶんには…

へそのゴマ

小学生のころ、へそのゴマを取っていたら「おヘソは触ったらアカン!お腹痛くなるで!」と、母によく言われた。すると本当におなかが痛くなってきたもんだから、(多分きたない手で触っていたのだろう)僕はへそのゴマを取るという習慣がないまま成人した。 …

むじ

MUJIへ行った。レジ近くの棚で商品を見ていたら、レジにいる女性客の声が聞こえてくる。「店員さんめっちゃオシャレですよねー。」「前からずっと思ってたんですぅー。」「着こなしもすごくいいですよねー。」こちら側からレジの方は死角になっていて、二人…

the Goofys

新バンドの名前が、“元祖天然バカボンズ”改め“the Goofys”に決まりました。goofyといえば、おなじみディズニーのキャラでもありますが、彼にはまったく興味はありません。 goofyには「とんま」「間抜けな」って意味がある。最初は、“元祖天然バカボンズ”だか…

中2男子のトキメキ五寸釘[最終話]

さて、シャイでウブな中2男子にとってバレンタインデーは、なるべく係り合いたくない日だった。決してモテたくないわけではなかったが、双子の兄に見つかったりした日にゃあ一気に奈落の底に落ちる危険性があるのだ。(一卵性双生児の僕らは当時、ちょっと…

中2男子のトキメキ五寸釘[第一話]

あれは僕がシャイでウブな中2男子のとき。同じクラスの本橋エリ(仮名)ちゃんに恋をした。そう、うれしはずかし初恋の思い出なのだ。 エリちゃんとは、なぜだかよく席が隣りになった。今考えれば、このころに僕はくじ運を使い果たしたのだろう。それ以降の…

男が丸坊主になる7〜8つの理由

昔から床屋に行くのが苦手だ。いつも3〜4ヶ月くらい、伸ばしに伸ばしてから、しょうがなしに髪を切りに行く。なんで好きになれないのだろう……時間がもったいないと思うのも、その理由のひとつだし、大きな鏡の前に長時間座らされるのも堪え難いことだ。しか…

サービスエース

中学高校と合わせて6年間双子の兄とテニス部でダブルスを組んでいた。顔だけではなく、技量も同じのため仕方がないといえば仕方がないが、このペアリングはどう考えても顧問の先生の面白半分で決められた気がする。 ところで今、振り返って考えてみると中学…

ピコーンピコーンピコーン

何かの機会に、自分と同世代の人と話をするとき僕は、なるべく最初の方の段階で、年齢を言うことにしている。というのも僕はとても童顔で、40歳になった今でも30歳前後に見られることが多い。だから僕の年齢を聞いた人は、たいていびっくりする。 しかし僕は…

ヨンテンニーハチ

気がつけば、あの日から2ヶ月が経とうとしている。あの日とは、屋島の山の中でバイクですっころんだ日のことだ。その日僕は、バイク乗りが山でやってはならない「谷側に足をつく」ということをやってしまい見事にズッコケたのだ。そしてそんなときに限って、…

続ゾクゾクゾク

そのときは突然、やってきた。その日、授業が終わった僕らは、いつものようにテニスコートにいた。中体連の試合も終わり、顧問のノノムラ先生が休みのため、僕ら軟式テニス部の部員は、いつもの役割分担である前衛と後衛を交代して、勝手におもしろトーナメ…

ゾクゾクゾク

あれは中学生のころ。僕の通う学校では、体罰が横行していた。ビンタ、グーで殴る、髪の毛掴むなどなど……教師たちはことあるごとに、たいした理由などなくとも生徒たちをシバいていた。とても自由にシバいていた。 僕はテニス部だった。ある日なんてテニスコ…

チッチッチッ

原付バイクで公道を走っていると、時々、僕の前を走っている車の運転手に幅寄せされることがある。おそらくだが性格の悪い運転手だ。例えば片側一車線の国道を何台かの車の後ろについて、原付バイクで走っていたとして、200m先の信号が赤になったら……その(お…

コンコンコン

必要ですか?未だに公衆トイレで個室に入っていると、ノックしてくる人がいます。あれって必要ですか?個室ってのは内側からロックかけたら外側はドアノブのところが赤色になっているはずなんです。多分ほとんどのトイレがそういう構造になってますよね?み…

タッタッタッ

このへんのS◯ftBankは、SHOPの店員さんの印象があまり良くないなぁ。と思っていた。(もし感じのいい関係者が読んでたらゴメンなさい。)でもこれは多分ぼくのこれまでの店員運が悪かっただけで、もちろんすべての店員さんがそうではないだろう。また、一度だ…

苦い思い出

「苦い思い出」 初対面の人に「ぼくって双子なんですよー」と言うと、「双子ってどんな感じなの?」というふうに、ときどき聞かれることがある。でも生まれたときから双子だったので、「どんな感じ?」かと聞かれても自分にとっては当たり前すぎて全然わから…